長春便り第4報 帰国まで
南湖賓館 |
6月19、20日に期末テストが終わり、採点、個別指導、短期派遣教員の送別会(2度)、その答礼の宴会、文部省、国家教育委員会の視察団の歓迎宴会、帰国のための荷出し、教員室の整備など慌ただしく日が過ぎました。 |
大連への旅行 |
大連は大都会です。ここへ来て初めて、長春は田舎だということがわかりました。まずごみが少ない。建物がしゃれている。1流のホテルがあり、紅茶が買える。神戸と同じパンがある。大連では大連外語学院の招待所に泊りましたが、エアコンもあり、大理石の洗面所にゆったりしたバスタブ、最新の設備の寝室。これで一泊240元。ようやく人心地がつきました。大連は長春から汽車で12時間、飛行機で1時間半。かつては日本から大陸へ渡る玄関口としてにぎわったところでもあり、今は上海、天津と並ぶ貿易港として経済開放の先端を行く街です。ここでは3泊。ゆっくり街を歩きました。日本人が建てた洋風建築の家々、ロシア風の建築物。最新の高層ビル。放射線状に広がる街路。緑豊かな坂の街。下町に行けば、活気に溢れた海鮮市場、道路を埋める出店の数々。大連駅は日本の上野駅に似せて作られたとか。港に沿って、終点までちんちん電車にも乗ってみました。滞在型の旅行は楽しいですね。 |
ハルビンへの旅 |
6月28日の夕方大連駅からハルビンヘ軟臥に乗って出発しました。軟臥というのは1等寝台で、外国人あるいは、党幹部、退職した軍人など、特別の人が優先的に乗ることができます。入口も、待合室も別。4人一部屋のコンパートメントになっていて、サービスが違います。一般の人は硬座、あるいは硬臥に乗ります。硬臥は6人1組、昔の2等寝台。ドアもありません。驚いたことは硬臥にしろ軟臥にしろ、ベッドにカーテンがないことです。男性はともかく女性にはちょっと問題です。 |
731部隊 |
次の日は、ハルビン郊外にある731部隊いわゆる細菌兵器を製造していた日本軍の研究所へ行きました。 ここは森村誠一「悪魔の飽食」吉村昭の「のみと爆弾」などの舞台になったところです。今年は戦後50年に当たり、中国各地で、さまざまな記念行事があります。 日本人にとってはつらいところです。長春でも元新京だったということでシンポジウムや種々の展覧会が計画されています。 先日偽故宮ヘ行ったことを思い出しました。偽故宮というのは、満州国皇帝溥儀の住まいで、そこには日本の傀儡政権であった満州国皇帝溥儀の一生が写真と資料と共に展示されています。いわゆるラストエンペラーの舞台がここです。 ここでも日本軍が行った残虐行為の数々に、日本人は声をひそめずにいられませんでした。でもおもしろいことにここ731部隊にも、日本人向けのお土産がたくさん用意されています。昔のお札、満州国の古い地図、馬瑙の碁石、麦わら細工、日本語のできる服務員が、笑顔一杯で売りつけようとします。私たちは何も買いませんでしたが、罪悪感に駆られて買う人が多いのでしょう。 |
ハルピンからの帰り |
ハルビンからの帰りは、軟座が取れなかったので、硬座で帰ることになりました。 |
長白山旅行で事故 |
7月30日とんでもないことが起こりました。 |
騒音問題 |
<騒音問題に関しても、私が東京の事務所に連絡するとすぐに文部省に事実関係を確認、積極的に動こうとしました。 |
宿舎が完成 |
宿舎の完成は、結局8月第三週の予定です。明日は東工大から、事故のお見舞いと実情視察に誰かが来るそうです。 しっかり騒音と、生活状況の困難さを見ていってもらいたいと思います。 現在の招待所には、専門日本語の先生たちが入っていますが、でき上がった部屋が5・6階にあるため、昼間はほとんど断水、夜は2時間程度しかでないそうです。お湯は出るのですが(7時〜10時まで)泥水のような状態が多く、たまに少しきれいなのが出た時に入浴するということです。 なぜ泥水のようなのか原因を調べたそうですが、昨年中にできる予定だった宿舎が一年伸びたために、以前買ってあったボイラーがさびとほこりでどろどろになっていたのをきれいに洗わずに取りつけたためだそうです。 調べた先生の話によると、2年ぐらい立てばきれいになるだろうとのこと、ことほどさように中国は不思議な国です。 でき上がったばかりなのに、ドアがスムーズに開閉できない。これは入口も、浴室も同様です。開かなくてひっぱたらノブが抜けた。鍵がうまく入らない、無理に回して鍵が折れた。コンセントの位置が電気製品のそばにないため部屋の中を延長コードがへびのようにのたくっている。これは部屋によって位置が違い、運の好い人は少しまとも。 天井や壁には新しい壁紙が張ってあるのになぜかあちこち穴が開いている。これは電気系統の職人と、内装の職人との話し合いがなく、ただひたすら内装屋は内装屋の仕事をし、電気屋は電気屋の仕事をした結果だそうです。 共同の台所が悲惨、タイル職人がタイルを先に張ってしまい電気のことをすっかり忘れていた。壁の中にはまったく電気の線が入っていない。そのため、換気扇屋が換気扇を取りつけても差し込みがない。 立派なフード型の換気扇が、コードをぶらぶらさせたまま。工事をやり直す暇がないため、多分来年までそのままでしょう。 |
宿舎の不具合 |
何しろ8月末に文部省が来るのですから。私たちが一緒に食事をする時はこういう話題に花が咲きます。先日東工大のS先生のところに奥さんが見え、何日かたって、散々驚いた後、よくここで6か月も過ごしましたね。とまるで不思議なものでも見るような目で言われたと団長が憤慨していました。 |
ブレーカー |
ブレーカーの問題、これにはついに忍耐強いRさんが我慢の限界を越えて、ブレーカーのスイッチをつかんだまま大声で泣き出しました。2階に私とRさんが住んでいたのですが、2部屋でひとつのブレーカー、それも信じられないほど容量の低いもの。 |
中国について思うこと |
<工事騒音、カラオケ騒音、等々、今思うとよく我慢していました。 |
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
長春の東北師範大学はいまやPCルームあり、最新の機器のLL教室あり、
宿舎は全室暖冷房つき、生活には全く不自由ないそうです。
学校の場所も変わっており、シャングリラホテルもあって、
街の様子は久々に行った先生の話によればまるで浦島太郎になったようで、
20年前はすでに50年も前のイメージだそうです。
最後のこの第4報はバス事故あり,騒音問題ありで
在職中にアップするのがはばかられましたので、こっそりと今日アップしました。
その後、『てなもんや商社」や「望郷」などを読んで、
中国に関しては「やはりこの経験があって、初めて分かる部分があるなぁ」
「面白い経験だったなぁ」としみじみ思いました。